相続財産法人からの財産分与の時期等

(相続財産法人からの財産分与の時期等)

4‐1 民法第958条の3第1項《特別縁故者に対する相続財産の分与》の規定による相続財産の分与については、次のような段階を経て行われるので、相続開始後相当の期間(最短13か月)を経て行われることに留意する。
(1) 民法第952条《相続財産の管理人の選任》の規定による相続財産の管理人の選任及び公告
(2) 民法第957条《相続債権者及び受遺者に対する弁済》の規定による相続債権者及び受遺者に対しその請求の申出をすべき旨の公告
(3) 民法第958条《相続人の捜索の公告》の規定による相続人があるならばその権利を主張すべき旨の公告
(4) 民法第958条の3の規定による特別縁故者の財産分与の請求
   また、特別寄与者が支払いを受けるべき特別寄与料の額については、同法第1050条第2項《特別の寄与》の規定により、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から6か月を経過するまで又は相続開始の時から1年を経過するまで家庭裁判所に対し処分の請求ができることから、相続開始後相当の期間を経て確定しうることに留意する。

(相続財産法人から財産の分与を受ける者)

4‐2 民法第958条の3第1項の規定による相続財産の分与は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった個人のほか、特別の縁故があった人格のない社団若しくは財団で代表者等の定めがあるもの又は法人(以下4‐2において「社団等」という。)に対してもされるが、社団等に対して財産の分与が行われた場合には、当該社団等について法第66条第1項又は第4項の規定の適用があることに留意する。

(相続財産法人から与えられた分与額等)

4‐3 民法第958条の3の規定により相続財産の分与を受けた者が、当該相続財産に係る被相続人の葬式費用又は当該被相続人の療養看護のための入院費用等の金額で相続開始の際にまだ支払われていなかったものを支払った場合において、これらの金額を相続財産から別に受けていないとき又は同法第1050条の規定による支払いを受けるべき特別寄与料の額が確定した特別寄与者が、現実に当該被相続人の葬式費用を負担した場合には、分与を受けた金額又は特別寄与料の額からこれらの費用の金額を控除した価額をもって、当該分与された価額又は特別寄与料の額として取り扱う。

(分与財産等に加算する贈与財産)

4‐4 民法第958条の3の規定により相続財産の分与を受けた者又は同法第1050条の規定による支払いを受けるべき特別寄与料の額が確定した特別寄与者が当該相続に係る被相続人の相続の開始前3年以内に、被相続人から贈与により財産を取得したことがある場合においては、法第19条の規定の適用があることに留意する。

(法第3条第1項第1号の規定の適用を受ける保険金に関する取扱いの準用)

5‐1 法第5条第1項の規定により贈与により取得したものとみなされる保険金については、3‐6及び3‐8から3‐10までの取扱いに準ずるものとする。

(保険金受取人の取扱いの準用)

5‐2 法第5条第1項に規定する「保険金受取人」については、3‐11及び3‐12の取扱いに準ずるものとする。

(保険金受取人以外の者が負担した保険料等)

5‐3 法第5条第1項に規定する「保険金受取人以外の者が負担した保険料」及び「これらの契約に係る保険料でこれらの保険事故が発生した時までに払い込まれたものの全額」の計算については、3‐13及び3‐14の取扱いに準ずるものとする。

(損害賠償責任に関する保険又は共済の契約に基づく保険金)

5‐4 次に掲げる保険又は共済の契約(これらに類する契約を含む。)に基づき支払われるいわゆる死亡保険金のうち契約者の損害賠償責任に基づく損害賠償金に充てられることが明らかである部分については、法施行令第1条の4に規定する「損害賠償責任に関する保険又は共済に係る契約に基づく保険金」に該当するものとして取り扱っても差し支えないものとする。
(1) 自動車保険搭乗者傷害危険担保特約
(2) 分割払自動車保険搭乗者傷害危険担保特約
(3) 月掛自動車保険搭乗者傷害危険担保特約
(4) 自動車運転者損害賠償責任保険搭乗者傷害危険担保特約
(5) 航空保険搭乗者傷害危険担保特約
(6) 観覧入場者傷害保険
(7) 自動車共済搭乗者傷害危険担保特約

(搭乗者保険等の契約に基づく保険金)

5‐5 5‐4に掲げる保険又は共済の契約(これらに類する契約を含む。)に基づき相続人が取得した死亡保険金については、次によることとなるのであるから留意する。
(1) 被相続人が当該契約に係る保険料の全部又は一部を負担した場合 当該保険金のうち被相続人の負担した保険料に対応する部分は、法第3条第1項第1号に規定する保険金に該当する。
(2) 被相続人及び保険金受取人以外の者が当該契約に係る保険料を負担した場合 当該保険金のうち被相続人及び保険金受取人以外の者が負担した保険料に対応する部分は、法第5条第1項に規定する保険金に該当する(5‐4により損害賠償責任に関する保険又は共済に係る契約に基づく保険金として取り扱われる部分を除く。)。

(返還金その他これに準ずるものの取扱いの準用)

5‐6 法第5条第2項に規定する「返還金その他これに準ずるもの」については、3‐39の取扱いに準ずるものとする。

(生命保険契約の転換があつた場合)

5‐7 いわゆる契約転換制度により生命保険契約を転換前契約から転換後契約に転換した場合において、当該転換に際し転換前契約に係る契約者貸付金等の額が転換前契約に係る責任準備金(共済掛金積立金、剰余金、割戻金及び前納保険料を含む。)をもって精算されたときは、当該精算された契約者貸付金等の額に相当する金額は、転換前契約に係る契約者が取得した法第5条第2項に規定する「返還金その他これに準ずるもの」に該当するものとする。

(「定期金受取人」等の意義)

6‐1 法第6条第3項に規定する「定期金受取人」とは定期金の継続受取人をいい、「被相続人」とは、法第3条第1項第5号に規定する定期金受取人たる被相続人をいうのであるから留意する。

(定期金受取人以外の者が負担した掛金又は保険料)

6‐2 法第6条第1項に規定する「定期金受取人以外の者が負担した掛金又は保険料」及び同条第3項に規定する「当該第三者が負担した掛金又は保険料」の金額の計算については、3‐13の取扱いに準ずるものとする。

(定期金受取人が掛金又は保険料の負担者である場合)

6‐3 定期金給付契約(生命保険契約を除く。)の定期金の給付事由が発生した場合においても、その定期金受取人が取得した定期金給付契約に関する権利のうち、その者が法第3条第1項第4号の規定により相続又は遺贈によって取得したとみなされた部分及び自ら負担した掛金又は保険料の金額のその給付事由の発生した時までに払い込まれた掛金又は保険料の全額に対する割合に相当する部分については、相続税及び贈与税の課税関係は生じないのであるから留意する。

(著しく低い価額の判定)

7‐1 法第7条に規定する「著しく低い価額」であるかどうかは、譲渡があった財産が2以上ある場合には、譲渡があった個々の財産ごとに判定するのではなく、財産の譲渡があった時ごとに譲渡があった財産を一括して判定するものとする。

(公開の市場等で著しく低い価額で財産を取得した場合)

7‐2 不特定多数の者の競争により財産を取得する等公開された市場において財産を取得したような場合においては、たとえ、当該取得価額が当該財産と同種の財産に通常付けられるべき価額に比べて著しく低いと認められる価額であっても、課税上弊害があると認められる場合を除き、法第7条の規定を適用しないことに取り扱うものとする。

(債務の範囲)

7‐3 法第7条に規定する「債務」には、公租公課を含むものとして取り扱うものとする。

(「資力を喪失して債務を弁済することが困難である場合」の意義)

7‐4 法第7条に規定する「資力を喪失して債務を弁済することが困難である場合」とは、その者の債務の金額が積極財産の価額を超えるときのように社会通念上債務の支払が不能(破産手続開始の原因となる程度に至らないものを含む。)と認められる場合をいうものとする。

(弁済することが困難である部分の金額の取扱い)

7‐5 法第7条に規定する「債務を弁済することが困難である部分の金額」は、債務超過の部分の金額から、債務者の信用による債務の借換え、労務の提供等の手段により近い将来において当該債務の弁済に充てることができる金額を控除した金額をいうものとするのであるが、特に支障がないと認められる場合においては、債務超過の部分の金額を「債務を弁済することが困難である部分の金額」として取り扱っても妨げないものとする。

(債務の免除)

8‐1 法第8条第1号に掲げる場合に該当する「債務の免除」には、その債務者の扶養義務者以外の者によってされた免除をも含むのであるから留意する。

(事業所得の総収入金額に算入される債務免除益)

8‐2 所得税法(昭和40年法律第33号)の規定により事業所得の総収入金額に算入される割引又は割戻しによる利益については、法第8条の規定は適用しないものとして取り扱うものとする。

(連帯債務者及び保証人の求償権の放棄)

8‐3 次に掲げる場合には、それぞれ次に掲げる金額につき法第8条の規定による贈与があったものとみなされるのであるから留意する。
(1) 連帯債務者が自己の負担に属する債務の部分を超えて弁済した場合において、その超える部分の金額について他の債務者に対し求償権を放棄したとき その超える部分の金額
(2) 保証債務者が主たる債務者の弁済すべき債務を弁済した場合において、その求償権を放棄したとき その代わって弁済した金額

(法第7条の規定に関する取扱いの準用)

8‐4 法第8条に規定する「著しく低い価額」、「債務」、「資力を喪失して債務を弁済することが困難である場合」及び「債務を弁済することが困難である部分の金額」については、7‐1及び7‐3から7‐5までの取扱いに準ずるものとする。