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「財産」の意義

(「財産」の意義)

11の2‐1 法に規定する「財産」とは、金銭に見積ることができる経済的価値のあるすべてのものをいうのであるが、なお次に留意する。
(1) 財産には、物権、債権及び無体財産権に限らず、信託受益権、電話加入権等が含まれること。
(2) 財産には、法律上の根拠を有しないものであっても経済的価値が認められているもの、例えば、営業権のようなものが含まれること。
(3) 質権、抵当権又は地役権(区分地上権に準ずる地役権を除く。)のように従たる権利は、主たる権利の価値を担保し、又は増加させるものであって、独立して財産を構成しないこと。

(遺産が未分割の場合の課税価格の計算)

11の2‐2 相続税の課税価格は、相続又は遺贈(当該相続に係る被相続人からの贈与により取得した財産で相続時精算課税の適用を受けるものに係る贈与を含む。)により取得した財産の価額及び法第19条第1項の規定により相続税の課税価格に加算される財産の価額の合計額をいうのであるが、未分割の遺産がある場合には、法第55条本文の規定を適用して、各相続人又は包括受遺者の課税価格を計算するのであるから留意する。

(胎児が生まれる前における共同相続人の相続分)

11の2‐3 相続人のうちに民法第886条《相続に関する胎児の権利能力》の規定により既に生まれたものとみなされる胎児がある場合で、相続税の申告書提出の時(更正又は決定をする時を含む。)においてまだその胎児が生まれていないときは、その胎児がいないものとした場合における各相続人の相続分によって課税価格を計算することに取り扱うものとする。

(裁判確定前の相続分)

11の2‐4 相続税の申告書を提出する時又は課税価格及び相続税額を更正し、若しくは決定する時において、まだ法第32条第1項第2号、同項第3号、法施行令第8条第2項第1号又は第2号に掲げる事由が未確定の場合には、当該事由がないものとした場合における各相続人の相続分を基礎として課税価格を計算することに取り扱うものとする。

(贈与により取得した財産の価額が相続税の課税価格に加算される場合)

11の2‐5 相続又は遺贈によって財産を取得した者がその相続開始の年(法施行令第4条の4の2第3項に規定する場合に該当する場合には、同項に規定する適用年)において当該相続に係る被相続人からの贈与により取得した財産(被相続人を特定贈与者とする相続時精算課税の適用を受ける財産を除く。)の価額については、法第21条の2第4項又は法施行令第4条の4の2第3項の規定により贈与税の課税価格に算入しないで相続税の課税価格に加算することに留意する。
 また、相続開始の年(法施行令第7条の2に規定する場合に該当する場合には、同条に規定する適用年)において特定贈与者である被相続人からの贈与により取得した相続時精算課税の適用を受ける財産の価額については、法第21条の10の規定により贈与税の課税価格に算入される(法第28条第4項又は法施行令第7条の2の規定により当該財産については贈与税の申告を要しない。)とともに、法第21条の15第1項又は第21条の16第1項の規定により相続税の課税価格にも算入されることに留意する。
(注) 上記の相続開始の年において当該相続に係る被相続人からの贈与により財産を取得した者が当該財産について相続時精算課税の適用を受けるためには、当該相続開始の年の前年以前の年分の贈与について法施行令第5条第1項に規定する「相続時精算課税選択届出書」(以下「相続時精算課税選択届出書」という。)を提出している場合を除き、当該相続時精算課税選択届出書を提出しなければならないことに留意する。

(譲渡担保)

11の2‐6 いわゆる譲渡担保(金銭消費貸借の担保として当該担保物の所有権を移転したもの又は債務金額によって買戻しする特約のあるものをいう。)については、原則として、次により取り扱うものとする。
(1) 債権者については、債権金額に相当する金額を当該債権者の課税価格計算の基礎に算入し、当該譲渡担保の目的たる財産の価額に相当する金額は、これに算入しないこと。
(2) 債務者については、当該譲渡担保の目的たる財産の価額に相当する金額を当該債務者の課税価格計算の基礎に算入し、債務金額に相当する金額は控除すること。

(負担付遺贈があった場合の課税価格の計算)

11の2‐7 負担付遺贈により取得した財産の価額は、負担がないものとした場合における当該財産の価額から当該負担額(当該遺贈のあった時において確実と認められる金額に限る。)を控除した価額によるものとする。

(停止条件付遺贈があった場合の課税価格の計算)

11の2‐8 停止条件付の遺贈があつた場合において当該条件の成就前に相続税の申告書を提出するとき又は更正若しくは決定をするときは、当該遺贈の目的となつた財産については、相続人が民法第900条《法定相続分》から第902条《遺言による相続分の指定》まで及び第903条《特別受益者の相続分》の規定による相続分によつて当該財産を取得したものとしてその課税価格を計算するものとする。ただし、当該財産の分割があり、その分割が当該相続分の割合に従つてされなかつた場合において当該分割により取得した財産を基礎として申告があつた場合においては、その申告を認めても差し支えないものとする。

(代償分割が行われた場合の課税価格の計算)

11の2‐9 代償分割の方法により相続財産の全部又は一部の分割が行われた場合における法第11条の2第1項又は第2項の規定による相続税の課税価格の計算は、次に掲げる者の区分に応じ、それぞれ次に掲げるところによるものとする。
(1) 代償財産の交付を受けた者 相続又は遺贈により取得した現物の財産の価額と交付を受けた代償財産の価額との合計額
(2) 代償財産の交付をした者 相続又は遺贈により取得した現物の財産の価額から交付をした代償財産の価額を控除した金額
(注) 「代償分割」とは、共同相続人又は包括受遺者のうち1人又は数人が相続又は包括遺贈により取得した財産の現物を取得し、その現物を取得した者が他の共同相続人又は包括受遺者に対して債務を負担する分割の方法をいうのであるから留意する。

(代償財産の価額)

11の2‐10 11の2‐9の(1)及び(2)の代償財産の価額は、代償分割の対象となった財産を現物で取得した者が他の共同相続人又は包括受遺者に対して負担した債務(以下「代償債務」という。)の額の相続開始の時における金額によるものとする。
 ただし、次に掲げる場合に該当するときは、当該代償財産の価額はそれぞれ次に掲げるところによるものとする。
(1) 共同相続人及び包括受遺者の全員の協議に基づいて代償財産の額を次の(2)に掲げる算式に準じて又は合理的と認められる方法によって計算して申告があった場合 当該申告があった金額
(2) (1)以外の場合で、代償債務の額が、代償分割の対象となった財産が特定され、かつ、当該財産の代償分割の時における通常の取引価額を基として決定されているとき 次の算式により計算した金額

A×

(注) 算式中の符号は、次のとおりである。
Aは、代償債務の額
Bは、代償債務の額の決定の基となった代償分割の対象となった財産の代償分割の時における価額
Cは、代償分割の対象となった財産の相続開始の時における価額(評価基本通達の定めにより評価した価額をいう。

(「墓所、霊びょう」の意義)

12‐1 法第12条第1項第2号に規定する「墓所、霊びょう」には、墓地、墓石及びおたまやのようなもののほか、これらのものの尊厳の維持に要する土地その他の物件をも含むものとして取り扱うものとする。

(祭具等の範囲)

12‐2 法第12条第1項第2号に規定する「これらに準ずるもの」とは、庭内神し、神たな、神体、神具、仏壇、位はい、仏像、仏具、古墳等で日常礼拝の用に供しているものをいうのであるが、商品、骨とう品又は投資の対象として所有するものはこれに含まれないものとする。

(「当該公益を目的とする事業の用に供することが確実なもの」の意義)

12‐3 法第12条第1項第3号に規定する「当該公益を目的とする事業の用に供することが確実なもの」とは、その財産について、相続開始の時において当該公益を目的とする事業の用に供することに関する具体的計画があり、かつ、当該公益を目的とする事業の用に供される状況にあるものをいうものとする。したがって、個人生活の用に供されるものは、これに該当しないことに留意する。

(財産を取得した後公益事業の用に供しない場合)

12‐4 法第12条第1項第3号に規定する「宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う者」から当該事業の用に供されている財産を相続又は遺贈によって取得した場合において、その取得した者が公益事業を行わないときはもちろんのこと、2年以内に公益事業を行うときであっても、当該財産を当該事業の用に供していないときは、相続税の課税価格に算入するのであるから留意する。

(財産を取得した後公益事業を行う場合)

12‐5 法第12条第1項第3号に規定する「宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う者」から当該事業の用に供されている財産を相続又は遺贈によって取得した者が、当該財産を取得すると同時に当該事業を受け継いで行う場合には、当該公益を目的とする事業の用に供されている財産については法第12条第1項第3号に掲げる財産に該当するものとして取り扱うものとする。ただし、次の(1)又は(2)に該当する場合においては、この限りでない。
(1) 相続税の申告書の提出期限までに当該事業の用に供される財産が未分割である場合
(2) 当該事業の規模が当該相続又は遺贈に係る被相続人が行っていた当該事業の規模より著しく縮小される場合

(「当該財産を当該公益を目的とする事業の用に供していない場合」の意義)

12‐6 法第12条第2項(法第21条の3第2項の規定によりこの規定を準用する場合を含む。)に規定する「当該財産を当該公益を目的とする事業の用に供していない場合」とは、財産を取得した者が当該財産を現実に当該公益を目的とする事業の用に供している場合以外の場合をいうのであるから、当初当該財産を公益を目的とする事業の用に供していても2年を経過した日現在において、その用に供しなくなった場合をも含むことに留意する。

(公益事業の用に供しなかった財産)

12‐7 法第12条第2項の規定により、財産を取得した日から2年を経過した日において、なお当該財産を法第12条第1項第3号に規定する公益を目的とする事業の用に供していないために、当該財産の価額を課税価格に算入することになった場合においては、当該財産を取得した時の時価によって評価し、相続税の課税価格の計算の基礎に算入するものとする。この場合において、その者については延滞税及び各種加算税の納付義務があるのであるから留意する。

(相続を放棄した者等の取得した保険金)

12‐8 相続を放棄した者又は相続権を失った者が取得した保険金については、法第12条第1項第5号に掲げる保険金の非課税金額の規定の適用がないのであるから留意する。

(保険金の非課税金額の計算)

12‐9 相続人の取得した法第3条第1項第1号に掲げる保険金(法第12条第1項第4号に掲げる給付金を受ける権利を除く。以下12‐9において同じ。)の合計額の全部又は一部について租税特別措置法(昭和32年法律第26号。以下「措置法」という。)第70条第1項(同条第10項において準用する場合を含む。)又は第3項の規定の適用を受ける部分がある場合は、同条の規定の適用を受ける部分の金額を控除した後の保険金の額を基礎として法第12条第1項第5号に掲げる保険金の非課税金額を計算するものとする。なお、同号ロの規定によるこの保険金の非課税金額の計算を算式で示せば、次のとおりである。

(500万円×n) × 各相続人の非課税金額

(注)

1 算式中の符号は、次のとおりである。
nは、法第15条第2項に規定する相続人の数
Aは、各相続人が取得した保険金の合計額の総額
Bは、各相続人が取得した保険金の合計額
2 各相続人が取得した保険金の合計額の総額が、500万円に法第15条第2項に規定する相続人の数を乗じて算出した金額以下の場合には、各相続人の取得した保険金の合計額に相当する金額が、その者の保険金の非課税金額となるのであるから留意する。
3 保険金を取得した被相続人の養子(相続を放棄した者を除く。)については、全員保険金の非課税金額の適用があることに留意する。

(保険金についての取扱いの準用)

12‐10 相続を放棄した者等の取得した退職手当金等及び退職手当金等の非課税金額の計算については、12‐8及び12‐9の取扱いに準ずるものとする。

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